The Lexicon Obscura 激ムズ英単語 Vol3

The Lexicon Obscura
誰が使うんだよ、という英単語のコレクション
Vol. 3 · さらなる語彙の深みへ
今週の珍単語たち
Hirundine /hɪˈrʌn.dɪn/ adjective
自然 ラテン語 詩的
ツバメのような、ツバメに関する
ツバメ(swallow)の性質・動き・姿に似ていることを表す形容詞。軽やかに弧を描く飛び方、すばしっこさ、夏の訪れとともに現れる存在感——そういったツバメ的な何かを持つものに使う。詩や文学の世界でたまに登場する。
用例
“Her hirundine movements across the dance floor left the audience breathless — swift, precise, impossibly graceful.”
由来
ラテン語 “hirundo”(ツバメ)から。英語には17世紀に登場したが、ほぼ詩と博物誌の中にしか生きていない。
希少度 ●●●●●
Weltschmerz /ˈvɛlt.ʃmɛrts/ noun
感情 ドイツ語 翻訳不可
世界のありさまと、あるべき理想との乖離から来る深い悲しみ
ドイツ語由来の英語借用語。ニュースを見て感じる絶望感、世界が理想とかけ離れすぎていることへの疲弊感、それでも生きていかなければならない虚しさ——そういった「世界への痛み」を一言で表す。
用例
“After reading the news for an hour, he put down his phone, overcome by a familiar weltschmerz he couldn’t shake.”
由来
ドイツ語 “Welt”(世界)+ “Schmerz”(痛み・悲しみ)。19世紀ドイツのロマン主義文学から生まれた概念で、詩人ハイネらが広めた。
希少度 ●●●●
Frowsty /ˈfraʊ.sti/ adjective
感覚 英国英語
換気されていない部屋の、むっとした古い空気のような
長らく窓を開けていない部屋、古い図書館の奥、祖父母の家の押し入れ——そういう場所に漂う、温かくてよどんだ独特の空気感を表す形容詞。主にイギリス英語で使われ、悪臭というほどではないが明らかに「よどんでいる」感じ。
用例
“The frowsty parlour hadn’t been opened in years; the curtains held the smell of a dozen forgotten winters.”
由来
19世紀のイギリス英語から。”frowsy”(だらしない・むっとした)の変形で、方言から標準語に昇格した珍しいケース。
希少度 ●●●●●
Apophenia /ˌæp.əˈfiː.ni.ə/ noun
心理学 ギリシャ語
無関係なものの中に、意味やパターンを見出してしまう傾向
雲の形に顔を見る、偶然の数字の一致に運命を感じる、ランダムなノイズにパターンを発見する——人間が本来持つ「意味を見つけたい」という本能が過剰に働いた状態。陰謀論にハマる仕組みの根本にある認知バイアス。
用例
“Seeing faces in toast and finding meaning in coincidences — apophenia is the engine behind most superstitions.”
由来
ドイツの精神科医クラウス・コンラッドが1958年に造語。ギリシャ語 “apo-“(離れて)+ “phaenein”(示す)から。
希少度 ●●●●●
Lucubration /ˌluː.kjʊˈbreɪ.ʃən/ noun
知性 ラテン語
夜中にランプの明かりで行う、苦労を伴う深い勉学・著述
深夜に灯りをともして行う勉強・研究・執筆のこと。転じて「苦労して書き上げた難解な作品や文章」を指すこともある。「夜なべして考えた結果」を一言で表せる便利な……でも誰も使わない単語。
用例
“His three-volume theory was the product of years of solitary lucubration — and, frankly, it showed.”
由来
ラテン語 “lucubrare”(ランプの光で働く)から。”lux”(光)と同じ語根。16世紀に英語に登場。
希少度 ●●●●●
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言葉は、まだ名前のない感情に輪郭を与える。
Words give shape to feelings that have no name yet.

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